下鴨アカデミーが目指すこと~ヨーロッパの大学寮の歴史をふまえ[2]~


下鴨アカデミーという学生会館で、寮生活、共同生活をすることは、学生の便宜を図るためにたまたまそうなった、教育の副産物、付属品ではありません。共同生活そのものが学びの場なのです。時間を守ること、共同使用の空間を大切に使うこと、順番を譲り合うこと、自室の管理を自分で行うこと、意見の異なる人とも穏やかに対話をすること、異なる文化や背景をもつ仲間から学ぶこと、他者に関心を持って必要な時には手を貸し、または、助けを頼むこと。これらのことは、当たり前にできるものではなく、人としての成長の中で、練習を通して身につけていけるものです。


これらを、いかに「自由に」実践するか、ここにカギがあります。「自由」かどうかで、居心地の良さ、成長の深さが変わってきます。たとえ大人であっても、誰一人「完全な独立」や「放縦」によって生きることはできません。何らかの保護や制約を受け入れつつ、自己の完成を目指し、それぞれの人生を楽しみます。この下鴨アカデミーでは、学生たちを管理、保護しすぎずに見守ることを大切にしています。見守りの中で、学生たちは自分で考え、良いと思うことを自ら選びます。失敗すればやり直し、責任の取り方を学びながら成熟していきます。その過程で体験するのが「本物の自由」です。
大学寮の歴史が示すように、共同生活は人格形成の重要なステージです。この理想を大切にしながら、スタッフ自身もまた日々「自由」を学び続けています。